Batman

これは今年のアカデミー作品賞受賞作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の予習として見た。
1989年、鬼才として売り出し中だったティム・バートンが、当時としては最も本格的な実写映画化に挑み、世界的な大ヒットを記録している。
ただし、ぼく自身はまったくの初見。
この年は巨人の取材を始めてから2年目、復帰1年目の藤田元司監督の下、巨人が2年ぶりに優勝と日本一を達成したシーズンで、私生活も野球一色、映画を楽しむ余裕などほとんどなかった。
実質的な主役はマイケル・キートンが抜擢されたバットマンではなく、ジャック・ニコルソン演じるジョーカーである。
特殊メイクを施し、バットマンと肩を組んだツーショットは当時、様々なメディアに取り上げられ、雑誌の表紙を飾り、強烈な印象を残した。
映画の内容もまた、フリークス(=異形の者)への過剰な愛情表現で知られるバートンだけに、一筋縄ではいかない奇怪な一篇に仕上がっている。
最初のうちはいかにも漫画チックなコメディ仕立てのように見せているが、お話が進むにつれて、ダークでおどろおどろしいテイストが満開。
醜怪な化け物に変貌したジョーカーが世間への呪詛をぶちまけ、バットマンもそのジョーカーに両親を殺された恨みを晴らそうとするクライマックスは生々しい迫力たっぷり。
ふたりがものすごい形相で激しく殴り合う格闘シーンには痛々しさすら感じる。
クリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演版バットマン・シリーズも、ヒース・レジャーがジョーカーを演じてオスカーを受賞した
『ダークナイト』(2008年)も、このバートン版バットマンがなければ生まれなかっただろう。
もっとも、いまのファンが面白がって見るかどうかまでは何とも言えないが。
お勧め度はB。
(1989年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 127分)
ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2015リスト ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)27『バックドラフト』(1991年/米)B
26『イーグル・アイ』(2008年/米)A
25『そこのみにて光り輝く』(2014年/東京テアトル他)A
24『サイドウェイ』(2004年/米)A
23『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(2012年/仏)C
22『メトロ42』(2012年/露)C
21『リベンジ・マッチ』(2013年/米)C
20『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013年/米)C
19『ボーン・アルティメイタム』(2007年/米)B
18『ボーン・スプレマシー』(2003年/米)B
17『ボーン・アイデンティティー』(2002年/米)B
16『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012年/韓)B
15『ハードエイト』(1996年/米)A
14『刑事コロンボ 第38話「ルーサン警部の犯罪」』(1976年/米)B
13『刑事コロンボ 第37話「さらば提督」』(1976年/米)B
12『ワイルド・ビル』(1995年/米)C
11『鷲と鷹』(1969年/米)C
10『プロフェッショナル』(1966年/米)C
9『戦略大作戦』(1970年/米)C
8『スリー・キングス』(1999年/米)B
7『里見八犬伝』(1983年/角川春樹事務所)C
6『パシフィック・リム』(2013年/米)A
5『大脱出』(2013年/米)B
4『追悼のメロディ』(1976年/仏)A
3『フリック・ストーリー』(1975年/仏、伊)B
2『ロボコップ』(2014年/米)B
1『アメリカン・ハッスル』(2013年/米)B