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『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』
2014年11月12日(水)
Inside Llewyn Davis

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 久しぶりに飯田橋のギンレイホールへ行ってきました。
 封切り時に見逃した今年の新作2本立てを見に。

 1本目は5月に公開されたコーエン兄弟の最新作。
 昨年のカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得し、今年のアカデミー賞でも撮影賞と録音賞にノミネートされた。

 主人公のルーウィン・デイヴィスは1961年、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジで、プロのフォークシンガーを目指している若者。

 デュオのパートナーが自殺してしまい、ソロデビューしたアルバムがまるで売れず、素人でもステージに上がれるライヴハウスに出演して糊口をしのいでいる。
 その日のねぐらにも困っている有り様で、死んだ元パートナーの元カノのところに転がり込むと、妊娠したから中絶費用を出せ、と迫られる。

「彼の子供だったら生みたいわよ!
 でも、アンタともヤッちゃったから、どっちの子供だかわかんないでしょ!
 彼の子供だったら才能があるでしょうけど、アンタの子供だったら何もできないに決まってるわ!
 どうして、あたしとヤルとき、コンドームを二重に付けておかなかったのよ!」

 散々罵られたデイヴィスは仕方なくレコード会社に出向き、アルバムの印税を払ってくれと要求するが、鼻であしらわれて追い返される。
 シカゴのスタジオまで出かけて自分を売り込んだら、男2人女1人のトリオに加えてやるから、髭を剃って小綺麗にして出直せと言われる。

 そんな惨めな境遇にありながら、プロのシンガーとしてのプライドだけは捨てられない。
 自分を支援してくれている大学教授の家で夕食を御馳走になり、その夫人に「1曲歌ってよ」と頼まれると、我慢できなくなって声を荒げる。

「おれはこんな場所で余興を見せるためにこの仕事をしてるんじゃない!
 生活のために歌ってるんだ!」

 そんなデイヴィスの姿を見ているうち、どれもこれも身につまされるエピソードばかりで、ここに描かれているのはみんなおれのことじゃないかと思えてくる。

 ストーリーはフィクションだが、実在のフォーク歌手デイヴ・バン・ロンクの自伝(邦訳あり)がベースになっており、リアリティたっぷり。
 おれのようにフリーランスで細々と表現活動をしている人間、もしくはこれからフリーで生きていこうとしている人たちは全員必見。 

 監督と脚本を手がけたコーエン兄弟は『ノーカントリー』(2007年)でアカデミー作品賞と監督賞を獲得。
 彼らは『シリアスマン』(2009年)、『トゥルー・グリット』(2010年)など、ひっそりと公開された作品にも傑作が少なくない。 

 本作もそんな1本。
 採点は85点です。

(2013年 アメリカ=CBSフィルムズ/日本配給=ロングライド 104分)

 飯田橋ギンレイホールで18日まで公開中

 ※50点=落胆 60点=退屈 70点=納得 80点=満足 90点=興奮(お勧めポイント+5点)

 2014劇場公開映画鑑賞リスト
8『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年/米)70点
7『ゴジラ』(2014年/米)75点
6『アデル、ブルーは熱い色』(2013年/仏)80点
5『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013年/米)85点
4『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年/米)85点
3『ゼロ・グラビティ』(2013年/米)90点
2『ラヴレース』(2013年/米)70点
1『ラッシュ/友情とプライド』(2013年/米)85点