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『サンセット大通り』(WOWOW)
2014年03月20日(木)
Sunset Boulevard,Sunset Blvd.

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 いままで記事や文献では散々読んでいながら、肝心の映画自体は一度も見たことがなかった。
 という個人的幻の名画≠フ1本。

 あっ、こんな映画だったんだ、というのが第一印象でした。
 いい意味でも悪い意味でも。

 繰り返し読んだ双葉十三郎さんの批評や和田誠さんのエッセイから、てっきりハリウッドを舞台とした重厚な人間ドラマだと思い込んでいたんだよね。

 サイレント時代に名声を博し、トーキーの登場によって世間に忘れ去られ、齢50歳になりながら、ひとり新たな主演映画のオファーを待ち続けている名女優の悲劇。
 しかも、そういう年老いた主人公を、現実に同じ運命を辿ったグロリア・スワンソンが堂々たる貫禄で演じている。

 こう聞けば、誰でもシリアスな映画だと思うわな。

 ところが、実際に見てみたら、れっきとしたホラー映画だったんですよ。
 主演のスワンソンも監督のビリー・ワイルダーも、テーマやメッセージをストレートに打ち出そうとせず、意識的に際物テイストのオブラートにくるんでつくっている。

 しかし、いま見ると、その話術が非常にスタイリッシュ。

 多少目端の利く映画ファンなら、本作が49年後に製作された『アメリカン・ビューティー』(1999年)の元ネタだということにすぐに気がつくはず。
 冒頭、いきなりプールに死体となって浮かんでいるウィリアム・ホールデンが、「ぼく自身が事の真相を明らかにしよう」と語り始めるのだ。

 死人がナレーターを務めるというアイデアは、ケヴィン・スペイシーが真似した『アメリカン・ビューティー』で初めて知った、という向きも多いでしょう。
 その後、『最高の人生の見つけ方』(2007年)でも、モーガン・フリーマンがまったく同じことをやっている。

 21世紀に入ったいま、ハリウッドでほぼ10年おきに模倣されている手法。
 それが実は、ワイルダーがすでに1950年に考案し、実践していたものだったのです。

 これにはびっくりした。
 名匠の卓越した先見性、だからこそいまなお新しい作風に改めて感嘆しました。
 このセンスと才能はキューブリック以上ではないか。

 しかし、だからこそ、ホラー映画としてつくられていることに、見終わったあとで何と見えない違和感と食い足りなさを感じてしまった。

 ワイルダーは晩年の1979年、『悲愁』を撮っている。
 これは『サンセット大通り』のセルフ・オマージュ=B
 伝説の名女優フェドーラをマルト・ケラーが演じ、全盛期の彼女と関係を持った当時の小道具で、映画全体の狂言回しを務めているのが、本作と同じホールデン。
 
 高校時代、リアルタイムで見た『悲愁』には感動した。
 だから『サンセット大通り』も同じテイストの映画であってほしかった、というのは元映画少年の儚い思い込みでしかなかった、という一席でした。

 お勧め度はAです。

(1950年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ 110分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

20『恐怖と欲望』(1953年/米)B
19『ガン・ホー』(1986年/米)B
18『カポーティ』(2005年/米)A
17『刑事コロンボ 第28話「祝砲の挽歌」』(1974年/米)A
16『刑事コロンボ 第27話「逆転の構図」』(1974年/米)B
15『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年/米)B
14『マーニー』(1964年/米)B
13『テッド』(2012年/米)C
12『ホーンティング』(1999年/米)C
11『フライト』(2012年/米)C
10『殺しの烙印』(1967年/日活)C
9『野獣の青春』(1963年/日活)A
8『黒蜥蜴』(1968年/松竹)B
7『帰ってきたウルトラマン ハイビジョンリマスター版』(1971年/円谷プロ)A=内容 D=リマスター処理
6『GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて〜』(2008年/米)C
5『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』(2012年/米)A
4『テルマ&ルイーズ』(1991年/米)A
3『太陽の帝国』(1987年/米)A
2『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(2013年/米)D
1『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(2012年/米)C